茨城国体 寺澤7位・柳井9位

サニーエリートチームからの国体出場者は神奈川県から柳井賢太、岩手県から寺澤光介の2名。結果、寺澤7位入賞、柳井9位と目標としていた国体トップ10を二人ともクリアすることができた。

寺澤も初めての全国大会入賞経験となった

昨年はパートナーアスリートとして一緒に練習をしてきた浅海健太が6位入賞を果たしたが、寺澤は22位、井上は38位という成績で、今一歩足りない結果だった。しかし、今年のトップ10に二人という成績は、チームとして強くなってきたことを実感できるものになった。この日のヒーローは、柳井賢太だろう。寺澤は5.5級獲得、国内ジャパンカップでも海外コンチネンタルでもポイントを獲得し、自信をつけて臨んだレース。本人はトップ3を狙ってのレースだった。7位入賞はもちろん素晴らしいが、欲を言えば5位入賞は可能性があったレースだった。

そんな寺澤とは違って、7級しか獲得できずにシーズンインした柳井は日本選手権予選である関東選手権でも権利を獲得できず、それどころか肉離れの故障まで。そんな中で、自ら、国体予選を最後のレースとして故障を抱えたまま神奈川選手権を走り、見事に3位に滑り込んで国体への出場権を得た。本大会を花道に引退すると決めて臨んだレース。これまで、こうして自らプレッシャーをかけることが不得意に見えた選手だったけれども、今回はプレッシャーに打ち克ち、応援をプレッシャーではなく自分の力に変えることができたのだろう。スイムをメイン集団の最後尾でアップし、バイクでもパックに滑り込んだ。ランでは、自分のペースを守りきり、前半勝負に行って失速する選手を回収しながら粘りのレースを展開して、見事にシングルリザルトを獲得した。

元々、プールスイムは速く、ポテンシャルがあったけれどもレースで発揮できていなかった彼だが、最後の最後に腹を括ってきめてきた。自分に足りない部分を見つめ直し、プレッシャーとも向き合い、打ち克って結果を獲得した様子は、チームとしての成長を改めて感じることができた。トレーニングは、基本的にどこのチームも差はあまりなく、そこに取り組んでいく姿勢の差が競技力の差となるからだ。

大きな結果を得るためには、犠牲はつきものだ。朝早くからトレーニングするためには友達とのご飯も断らなければいけないし、テレビも見ていられないだろう。仕事も集中して終わらせなければ、トレーニング時間が捻出できないし、家族との時間も少なくなる。職場や家族に理解してもらう努力が必要だ。柳井選手は、振り返って、「最後だから頑張れた。この生活を続けることはもうできないので、一線を退くことにする」という結論を出した。柳井のストーリーは、周りの選手たちにもいい影響を与えるだろう。寺澤・浅海にとっても、次のレベルに上がるためには、今の生活、今の優先順位の付け方を改め直す必要があるからだ。また、春先にトライアスロン活動に理解を求めるには厳しい職場にフルタイムで転職した井上にとっても、今後の取り組み方を考えるきっかけになるだろう。井上は転職以降、トレーニング時間を捻出できずに結果も出せずにいる。僕らができることは何だろうか。

日本選手権後は、こうした選手の環境に合わせてチーム制度も改めていく。少しずつ、少しずつだけれども、制度はブラッシュアップして、前に進んでいる。チーム練習を入れるところからはじまり、ハレーションを起こしながら、選手たちも少しずつ入れ替わりながらも前に進んでいる。特定の選手だけにフォーカスして育てていくのではなく、チームを強くしていくというのは面白い。引き続き、選手個人のタレントに頼るのではなく、チーム単位で評価されることを目標に頑張っていこう。

まずは週末の日本選手権。いよいよ日本選手権。楽しみだ!

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