駒沢ランステTransit 移譲
台湾に移住してまず困ったのが、ランステ経営だ。全て遠隔操作の無人営業スタイルのランステだったが、意外と実働は多い。振り返りながら書いてみようか。2023年9月に営業終了、10月に移譲したんだから、もう1年半も経ってるけど。
駒沢ランステTransitはAkerun というスマートロックで入退室をする仕組みだが、入退室のキーは、URL送付ではなく、自動販売機によるNFCカードだ。お客様は、ランステ前にある自動販売機でNFCカードを購入し、リーダーにかざして入退室する。スタート時には、WEB予約、URLキー送付の完全自動化で行ったが、お客様が対応できなかった。コロナ前でまだまだ、無人営業やスマートロックのURLキーが普及してなかったし、そもそもITリテラシーが高くないお客様が多い印象だった。トライアスリート相手でも、ある程度、リテラシーの幅は想定していたけど、ランナーのそれは予想以上!自動返信が見つからない、届かない、先ほど設定したはずのパスワードが弾かれる、「今、データ制限中なので繋がらないんです!」なんて人もいた。それだけ、ランナー人口は幅広く、逆にトライアスリートが一部の属性の人しかいないのだと感じた実例である。
ITリテラシー問題を経て、アナログだが、利用毎にNFCキーを自動販売機で購入してもらう、という作戦に切り替えたのだ。これは良かった。

現役時代よりお世話になり、また所属の寺澤光介をサポートしていただいていたエナジージェル「Shotz」に協賛していただき、タバコの自販機からランステの券売機に生まれ変わりました。券売機ではエナジージェルの販売もしました。(のちにShotz事業を継承するとは露ほども思わず。)

よく見るとリンクフィットネス専用の割引カードがある。このリンクフィットネスさん改めサニエスリンクさんにランステは事業継承されるのだから面白いものだ。
ランステ使い放題のサブスクも販売していたのだが、こちらもうまく浸透しないし、お客様に刺さらなかったようだ。ヒアリングしていくとランニングスクールは、ほぼチケット制、都度払いだという。トライアスロンスクールはほぼ月会費制だと思うが、これまた違いに驚くところである。ランナーの方は、複数のスクールを都度利用で掛け持ちすることが多いためと聞いたが、トライアスリートは月会費制度であってもスクールの掛け持ちはザラである。トライアスリートとランナーでは本当にお客様属性が異なると痛感した。
無人ランステは意外と実働が多い、という話に戻る。NFCカードを自動販売機で購入することを書いたが、この自動販売機が超年代物。自動券売機でQRコードが印字された紙を発券することも考えたが、自動発券機が高かったのと、QRを読み込む機能がまだ実装されていなかったため断念。そこでアナログにタバコサイズの白箱にカードを詰めてタバコ自販機で販売したのだ。タバコ自販機も購入が大変で、新しいものは年齢確認機能がついていてNG。また商品点数が多く大きすぎても玄関前には置けないのでNG。やっと見つかったのは、どこぞの旅館に置きっぱなしなっていたという年代物の自販機でヤフオクで5万円で仕入れることができた。
無事に無人営業がスタートしたのだが、この自動販売機は、NFCカードとタバコの白箱を回収して、再度充填するという作業が必要なのだ。週末に多い時は100〜150個も売れるので、週明けに充填しないといけない。清掃のアルバイトや選手たちにやってもらっていた。また、売り切れ御免ということで、売り切れて電話がかかってくることも。あとは、自動販売機が詰まってしまうことも一定数ある。特に大雨の後などは、タバコの白箱が湿気て詰まりの原因になってしまうのだ。あとはストックしている100円玉がなくなると釣り銭なし表示となり、1000円札で購入できなくなる。(1回600円) 向かいのセブンで小銭を崩してくれる方ばかりではなく、釣り銭切れ表示をよく読まずに電話してくる方も多かったな。あとは、ロッカーキーをなくしたという緊急電話対応。これはたまに半年に1回くらいあったが、これはすぐに駆けつけてあげられない時は心情的にきつい。
ということで、清掃、自動販売機充填、緊急対応、これが実働になるのだけど、アルバイトもなかなか見つからないし、イレギュラーな対応の時はささっと自分がやっていた。清掃もアルバイトで足りない部分は、気がついたらささっと自分でやってしまう。緊急時も、自宅から3kmなので自分が駆け付けたり。そんな対応が、台湾にいるとできないのだ。選手チームが平日は利用しているので、みんなで対応してくれていたけど、合宿も遠征も多くて難しい。そこで、運営パートナーを探すことになった。

運営をお願いできるパートナーを探している中で、運営委託でも共同運営でもなく、ランステビジネスごと移譲することになった。お相手はTransitスタート時から利用していただいていたランニングスクール「サニエスリンク」さんだ。「SUNNY の在るところをトライアスロンの聖地に」その想いでランステをつくり、実際に駒沢公園はトライアスリートはもちろんのこと、ランナーの聖地になった。ランステだって土日はパンパンになる。私たちSUNNY の役目は果たし、次なる発展継続はランナーの皆さんにお任せしてもいいだろうし、そうすべきだと感じた。手を挙げてくれる方がいなかったら、ランステ事業は撤退、駒沢からランステがなくなってしまう。それは避けたいところだったので、本当にご縁があったとしか思えない。選手活動拠点は、200mほど離れた場所に移し、Transit2としてアドバンスとエリートのトレーニングを開始、一般利用の方は、サニエスリンクさんの運営する新しいランステ「Sunny-kich サニキチ」でリスタートとなった。2023年10月のこと。
金町サニーの売却の時にも感じたのだが、こうして自分の育てた事業が自分の手を離れていく瞬間は寂しいものだ。しかし、継承してくれることで、私の手を離れてもお客様は満足していっていただける。同時にゼロイチを作った実感と、誇らしさも感じられるのだ。また次は何を作ろうかとワクワクする自分もいる。たくさんのタネをたくさん蒔いて大きな森を作れたらいいな。

ランステコミュニティ「Transit Running Club」通称TRCを主宰してくれた大和田さん、ランステの軒下でコーヒーを入れてくれていた小林さんと。こうして縁が繋がっていくのもとても心地よいものでした。(のちに小林さんは向かいの八百屋 桜井商店さんの跡を継いで念願のカフェを開店!)
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