2020年

2020年だ。僕だけじゃなく多くのスポーツ関係者にとって、東京五輪のある節目の年。競技人生を志した時から4年単位が染み付いてる僕にとって、オリンピックイヤーは、区切りの年だ。結果を求める年だし、ここで次の4年間をどう進むかを決める年。

新年一発目のスタッフミーティングでは、毎年僕が所信表明する。毎年、去年、一昨年と自分の原稿を見返しながら作成してスタッフに発表する訳だけど、年々目標がブラッシュアップされ、より具体的になっていく。数年前まで、トライアスロンを伝えたいのか、オリンピアンを出したいのか、もちろん両方なのだけど、そこが余白を残しながら抽象的だったと思う。家業をどうするかの問題もあるし、現実問題として、家族を養わなくてはいけないということもある。振り返るとブレてるところもあったけど、今は違う。「オリンピアン、コナプロアスリートをSUNNY FISHからだす」という目標の達成の形がはっきり見えている。それは強化体制とか選手待遇とかそういう話じゃない。SUNNY FISH のある駒沢を中心をトライアスロンを応援する土壌を作り出すことだ。

ここに、自戒の念も込めて、所信表明の一部を転載しておく。

私が考えている5年後、10年後は、「ボランティア」「応援」がキーワードです。ボランティアとはどんな意味か知っていますか?「善意の行動」と訳されることがあるかと思いますが、実際には、善意かどうかは関係なく、「自ら進んで行うこと」です。平松は、小さなローカルのトライアスロン大会が好きなのですが、なぜ好きなのかを考えてみました。自主運営の大会から醸し出される雰囲気が好きなのだなと。大好きな大会の一つに宮古島やアイアンマンハワイがありますが、この大きな規模の大会を支えているのは圧倒的な人数のボランティアスタッフです。ボランティアたちがこの大会で働くことを楽しみに、誇りにして大会を作っているのです。だから雰囲気がいいのですね。
ランステでは大和田さんを中心にTRCが発足し、毎週イベントを開催しています。無給で無料のイベントです。その集客力には目を見張るものがあります。大和田さんの、手軽に一緒に練習できたら楽しいよね、という気持ちや姿勢に賛同する人が沢山いるわけです。いつも参加すると心地よい空気感があります。まさに、ローカルレースで感じられるそれです。
 
また、クラウドファウンディングやnote(少額課金型blog)など個人への「応援」を促進させる仕組みも大きく躍進してきています。背景に、支援する人々の価値観が変化しつつあるのだと思っています。誰かを支援する、その支援額や見返り云々ではなく、その人のプロダクトや思いに賛同する、という意思表示をすることにお金を払っているのだと思います。そのセンスに共感する、その考え方に共感する、という意思表示をすることで、私自身はそれをできないけれども、応援する。そういった意思表示にお金をこと使っています。自分という存在を確認できるコミュニティにお金を落とすし、自分の価値観に近い活動に共鳴することで表現しているのではないでしょうか。
選手を応援する、という行動も、リターンなんてなくて、共鳴なのだと思います。その人に賛同することで、自分を肯定し、自己価値を高められるということ。サニー選手を応援することで、その人の毎日が誇らしく毎日がポジティブになるなんて素敵じゃないですか。
 
サニー事業で次の時代を生き抜いていく中で、こうしたキーワードを推進力にできるのが「サポーターズ」なのだと思っています。駒沢でも朝夜違えば雰囲気も違いますし、馬場も菊名もありますし、ジュニアだってあります。そんな中で共通してサニーという集団を意識させるのは、やはり「選手」なのだと思いますし、そうあって欲しい、そうしていきたいと強く思っています。各クラスを横断的につなげてくれる存在が「選手」です。

毎年、この新年MTGでお話ししているようにSUNNY FISHの夢はトライアスロンを主事業とした会社で、選手を雇用し、オリンピックで金メダルを獲ること、アイアンマンハワイで優勝することです。選手は好きなトライアスロンに関わる仕事をしながら選手生活を送り、引退後も、そのキャリアを存分にいかして会社に残ることができます。そのためのスクール事業であり、ランステや新規事業であり、物販事業です。東京オリンピックのときには、東京五輪に臨む選手が選手活動だけに集中できるようサポートできる会社にしますと言い続けてきました。結果、サポーターズの皆様に支えられ、選手活動に関わる経費のほとんどを捻出することができました。雇用や支援してくださる会社の目処も立てることができました。2024年パリでは、フルタイムアスリートを指導できるようにしましょう。
 
さて、オリンピック金メダリストを輩出するのは、どんなスクールでしょうか。

想像してみてください。
スクールだけでなく、そのスクールを取り巻く環境を。
僕はその環境を作っていきたいと思っています。

駒沢がトライアスロン、スポーツの聖地になっています。日本中、世界中からそのトレーニング環境に魅かれて才能のある選手たちが集まって来ています。選手だけでなく、一般愛好者のも、地元で練習する選手たちを応援し、自らもコミュニティに属してそれぞれのトレーニングライフを楽しんでいます。なにせ、駒沢はトライアスロンやマラソンを趣味とし、生活にある人々にとって住むこと自体が自己表現になっているのです。駒沢に住む人たちは、適度なワークバランスを保って世界中を見渡してもクールな生き方をしているのです。スポーツが当たり前に生活の中にあって、クールなサービスやプロダクトもたくさんうまれています。

トレーニングの拠点であるSUNNY FISHは、ジュニアからシニアまで専門的なトレーニング指導をしてくれます。Transitに行けば、どんなレベルの方でもトレーニングできるコミュニティに出会えます。金メダルを取った時、テレビでは駒沢公園でジョギングしている人々がインタビュワーにこう答えています。

「彼はいつもここで練習しているから、みんなで応援してるんだよ、彼は僕らの誇りだよ!」
 
どうですか、想像できましたか?

その時の選手の所属は、SUNNY FISHではなくて、コカコーラかもしれません。それでも、地元駒沢にいる人が誇らしいのは、SUNNY FISHやTransitでトレーニングしていることを知っているからです。
 
僕がエリート選手を引退した時には、薄ぼんやりだったけれども、今ははっきりと、その様子が浮かんできます。だから、導かれるように今の事業を進めています。この夢に向かって、みんなと進んでいけることに感謝しています。2020年は、2024年パリに向けてのスタートです。一緒に頑張っていきましょう!

2020年 SUNNY FISH スタッフ年始MTGにて

2020年、東京五輪に選手を出すことは99%厳しいけれども、当初の目標だったナショナルチームに選手を送り込む、は、W杯に出場するに言葉を置き換え、それなら実現の可能性があるところにいる。期限は、10月のW杯宮崎大会。それまでに、標準記録と、ランキングをクリアするぞ。

…SUNNY FISH としての所信表明と別に個人の目標も。

SUNNY FISHが描く未来の体現者として、家族との時間を大切にし、最小の時間で最大の仕事し、自分自身への挑戦の姿勢を持ってトライアスロンに取り組むこと。40-44の新しいカテゴリーで、アイアンマンハワイに出場することを目標にする。これは、ここ数年考えていた目標で年子育児で時間捻出が難しいからこそ、それを楽しんで挑戦する。週5時間の練習でフルマラソンは2時間50分で着地できた。アイアンマンは6月ケアンズにてサブ10を達成してみせる。コナに家族を連れていく!

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